カメレオン・シティー

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私は旅行カバの口の中に荷物を放り込むと、その背中に乗ってカメレオン・シティーへと旅に出た。見る者によってその姿と色が七変化するという幻の街へ。
旅行カバは冒険には欠かせない。その大きな口の中に旅に必要なものは全て入るし、乗り物としてはラクダよりもタフだ。その牙の生えた口でガブリと噛みつけばライオンよりも強い。食料を口に入れておくと全部胃袋で消化してしまうのが玉に瑕だが。

そうして私はついに砂漠の果てにカメレオン・シティーを発見した。
街に入るなり、私は驚愕した。一歩進むごとにゴツゴツした石畳や尖塔を備えた建物が揺らめき、刻一刻と虹色に変化したからだ。
不意に旅行カバが建物の壁に噛みついた。
途端にギーという悲鳴が上がり、砂の上から青空へ向けて街が浮かび出す。
急いで丘へ避難すると、砂漠のただ中に一匹の巨大なカメレオンが起き上がった。
なるほど、私は今まであの爬虫類の背中に乗っていたのだ。
ファンタジー
公開:23/03/24 11:14
プチコン

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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