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『味付け糊』という糊が発売された。味付け糊で封をすれば、中の書類の文面が味のある、心打つ文に変わるというものだった。
 筆無精の人は、これをありがたく使った。
 小説家は、これで〆切に間に合うようになった。
しかし、問題は起きた。筆無精の人から手紙を受け取った友人は、「おまえの文章は綺麗事ばかり書いてあって、人間が薄っぺらく感じる」
 そんなことを言って、縁を切った。出版社の社長からは「最近あの先生、原稿早くなったな。まさか、ゴーストはいないよな?それだと問題だぞ」
と言われ、連載を打ち切った。

『味付け糊』は生産を中止せざるを得なかった。
公開:23/03/20 11:57

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