酔待月ーよいまちづき
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男は、酒を飲んでいた。今日は、酔いたい気分だった。だが、男は酒にめっぽう強く、なかなか酔いが全身を駆け巡らない。
男は今日、女と会う予定だった。それを急にすっぽかされたのだ。女とは、長い付き合いだった。
「なんでだ?なんで急に……」
まだしっかりと呂律の回る口で、そんなことをこぼす。
今日は中秋の名月。ロマンチックなこの日に、プロポーズしようと思っていたのに。
心の中で、言葉にならない悪態をついていた男は、ふと視線の隅に見覚えのある影を見たと思って、そちらに転じる。すると、
「アキ……!」
視線の先に、彼女がいた。と、次の瞬間、彼女が宙に浮いた。彼女は宙に浮き、空へと、月へと登っていく。男の霞む目が、十二単をとらえる。
こんな昔話があったなと思いながら、男の脳は、眠りに落ちていくーー。
男は今日、女と会う予定だった。それを急にすっぽかされたのだ。女とは、長い付き合いだった。
「なんでだ?なんで急に……」
まだしっかりと呂律の回る口で、そんなことをこぼす。
今日は中秋の名月。ロマンチックなこの日に、プロポーズしようと思っていたのに。
心の中で、言葉にならない悪態をついていた男は、ふと視線の隅に見覚えのある影を見たと思って、そちらに転じる。すると、
「アキ……!」
視線の先に、彼女がいた。と、次の瞬間、彼女が宙に浮いた。彼女は宙に浮き、空へと、月へと登っていく。男の霞む目が、十二単をとらえる。
こんな昔話があったなと思いながら、男の脳は、眠りに落ちていくーー。
公開:22/09/10 19:10
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