馬とユニコーン

馬が言った。
「ユニコーン君、キミはいつも、怒っているね。」
ユニコーンは首を傾げた。
「怒っている？ボク、怒ってなんかいないよ」
いいや怒っていると、馬はなおも言う。
「そんな、恐そうなツノなんか生やしちゃってさ。いったい何がそんなに、不満なんだい？」
「不満……」
　ユニコーンは考える。確かに、不満といえば、不満だった。何に対してか。この馬に対してだ。この馬は気高く、誇り高く、自分が一番頭が良いと思っている。
　しかし、馬は知らなかったのだ。ユニコーンは本当に怒ってなどおらず、むしろ泣いているのだということを。
このツノのせいで、本当の気持ちをわかってもらえないと、嘆き悲しんでいることを。