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眠れない……。全然、まったく眠れない。
酒でも飲めば、酔った挙げ句に眠気もさすだろう。そう思い、階下に向かう。すると、台所の方からなにやら音がする。
ドタン、バタンと音がする。泥棒かと思い、おそるおそる向かうと、それはうちの猫だった。うちの猫が、暴れていた。よく見れば、千鳥足だ。脇を見ると、噛み千切られたまたたびの袋。あ!と叫び、猫を叱ろうと駆け寄る。「おまえ……っ!」
そのとき、猫が振り向いた。そしてーー
「よお、にいちゃん……」
 酔った声の猫。そのままフラフラと出て行く。なんとなくついて行くと、向こうもいちいち振り返る。
 ついてこい、というように。
 
 その日、俺は『夜』を知った。ヘンな意味じゃない。いたって健全な意味での『夜』だ。ーー猫的に言えば。
「夜の景色なんて、見たことないだろう?にいちゃん」
 そう言う猫の目は、見上げている月と同じ金色をしていた。
公開:22/08/17 11:43

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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