止まれないダイヤモンドダスト

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イブの深夜。
一人のサンタが寝坊した。
仲間は出かけた後で、彼だけがサンタの家に取り残されていたのだ。

慌てて着替え、ソリで空へと旅立つ。猛烈な吹雪だった。
そこで思い出した。
伝説のダイヤモンドダストに乗れば、遅れを取り戻せるかもしれない。

と、地上に人影を見つけた。
近づいて聞けば、遭難しているという。全員をソリに乗せ、家へ送った。

サンタは再び空へと舞う。心からの感謝の言葉を背に。
そのとき。
家から光が舞い上がった。サンタはソリごと巻き込まれ、上空へと昇っていく。
たどり着いた場所は、星屑を散りばめたように、あたり一面が輝いていた。

人々の思い、願い、希望、夢。光となり、聖夜、星を駆け巡る。
溢れる思いが生むダイヤモンドダストだ。

流れに乗り、無事プレゼントを配り終えた。
その姿を見た人は、こう言ったという。

今年のサンタはせっかちだけど、とても綺麗だった、と。
ファンタジー
公開:22/12/14 10:07
#研究室ライブ

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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