過失器

誤って人に怪我を負わせてしまった。過ちとはいえ、結構な怪我だ。これは、警察に行った方がいいのだろうか。自ら罪を認めれば、重い刑罰にはならないか？
　答えの出ない問いを頭の中で繰り返していると、店内の明かりが眩しい店の前で呼び止められた。「お兄さん、悩んでいるね？」
　男が言う。ただの店員だろうが、怪しげな男だ。
「お兄さんに、いいものあげようね？」
「いいもの？あいにくだが、手持ちが……」
「いいよ、金は取らない。試させるだけ。はい、顔出して」
　そう言うと男は俺の首根っこを掴み、ある機械の前に突き出した。目の前にはパネルがあり、まもなく数字が現れた。
「70%……」
「お兄さん、人に何かしたね？ずいぶんな罪ね。これはいけない。はい、警察行こ」
男に連れられるまま、俺は警察に行った。何か腑に落ちないような、でもスッキリしたような、おかしな気分だった。