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腕と手首が痛くて病院に行くと、医者は言った。
「ケンショウエンですね」
だろうと思っていた。だけど、正解を自ら出せてしまうと、何か納得できなかった。
「腱鞘炎、ですか?本当に?」
「ええ、本当です。ただし、懸賞金、などの『懸賞炎』ですがね」
「懸賞炎?なんですか?それ」
私が問うと、医者は逆に聞いた。懸賞に応募するのは好きか?と。私は「はい」と答える。趣味なのである。
「懸賞炎は、患者数の少ない未知の病です。何らかの原因で手首に懸賞菌というウイルスができ、それが炎症を起こすんです」
「へえ、腱鞘炎は聞いたことあるが、珍しい病気もあったもんですねーー治ります?」
半分のんきに、半分不安で聞く。治ります、と言われた。
「よかった。して、どうやって?」
「懸賞を当てなさい。ひとつでも多く。そうすれば菌は満足して、出ていきます」
「……」
 私の懸賞炎はどうやら、不治の病のようだった。
公開:22/10/26 22:50

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