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すっきりしない天気が続いている。こんな日は決まって同じことを思い出す。遠いあの日の記憶だ。あの日、俺は初めて、盗みを働いた。まだ小学一年生だった。宿題の漢字プリントを忘れた俺は、たまたま拾った漢字プリントを俺のものとして提出したんだ。100点だった。それは女子のもので、その子は泣いてた。「プリント無くしちゃった」って。あの日の空より、真っ暗な顔で。涙でずぶ濡れの顔で。俺は返ってきた答案を、手の中で握りつぶした。
 そしてそのテストが、その子のその学校での、最後のテストだった。転校したんだ。俺の罪を、責めも許しもしないままに。

「まぁだ後悔してるの?あの時のこと。もういいのに。そんな古い話」
 ホント、ピュアねーー君はいつもそう言うね。それが、許しの言葉なんだよね。でも君は、僕にひとつの罰を与えたんだ。ねぇ、君。君はね、優しい許しをくれて以来、君はーー


僕のハートを盗んだままなんだよ。
公開:22/10/24 11:32

さがやま なつき

今までは文章や物語全般の訓練。ここから童話作家への道、始動です!

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