読むと汗をかく本

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読書の秋。
私は図書館で、汗を流しながら読書にいそしんでいた。

読んでいるのは紀行文だ。
頭につけた、巨大なメガネのようなディスプレイに高精細な画像と文字が表示され、それを目で追っていく。
リアルな音や匂いまで感じられた。

ここはあるベンチャー企業が経営しており、世界中の新刊を手に取ることができる。
マニアックな技術書など、公営の図書館には置かれづらい本も置かれているのがウリだった。

施設の利用料は現金で支払うが、別の決済方法もあった。
ルームランナーで走って発電をすることでも支払える。
運動と読書を同時に行えるというわけだ。

発電の場合、走るのを止めると画面が消え、本が読めなくなってしまう。
かつて、推理小説の最終章を読んでいる時に力尽きたのは悔しかった。

そこで私はジョギングを始めた。
読むために走る生活を始めて半年。

走って、読んだあとのビールは最高だ。
ファンタジー
公開:22/10/12 09:50
研究室ライブ

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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