目からウロコ

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「いやぁ、それにしても、今朝は驚いたねぇ!目からウロコが落ちたんだよ!」
「へえ、何があったんだ?」
「いや、だから、目からウロコが落ちたの」
「いや、だから、『目からウロコが落ちた』んだろ?何に驚いて、目からウロコが落ちたのか、ってそれを聞きたいんだけど」
「……え?」
「いや、え?って、……え?おまえ、目どした?」
 オレはここではじめて奴に目を向けた。奴の目からは、ウロコが落ちていた。まるで涙のように。そして数日後、奴は別れも告げずに、転校した。みんなは好き勝手に奴の転校場所やその理由を予想していたけれど、オレにはなんとなくわかる気がした。
「海は広いか?友よ」
ーーああ、広いぜーー
 奴の声が、聞こえた気がした。
公開:22/10/03 12:36

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