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夕暮れの帰り道、冷たい風が吹いている。
もう九月も終わり、夏はずいぶん遠くに感じられた。
肌寒さにポケットに手を入れると、そこに入れてあったものに気づいた。
ビー玉のような透き通った青い球だ。
父さんがくれたものだ。
割ると、夏休みの続きが始まるという。
大事に持っていたが、まだ使わずにいる。
今日こそ使う、と思った。冬が来る前に、夏休みに戻りたい。
球を手に取り、じっと眺める。
でも。
来年も夏休みは来るし、その前には冬休みもやってくる。
だったら、今じゃない。
もっとだいじな時のために取っておかなくちゃ!
そう思って、僕はそっとポケットにしまった。
それから三十年。
大人になって、家族ができて、子どもが小学四年生になり、夏休みがやってきた。
僕は、使わないまま大事にしまってあった「あれ」を渡すことにした。
取り出した青い球を見て、僕にこれを渡した父の気持ちがわかった気がした。
もう九月も終わり、夏はずいぶん遠くに感じられた。
肌寒さにポケットに手を入れると、そこに入れてあったものに気づいた。
ビー玉のような透き通った青い球だ。
父さんがくれたものだ。
割ると、夏休みの続きが始まるという。
大事に持っていたが、まだ使わずにいる。
今日こそ使う、と思った。冬が来る前に、夏休みに戻りたい。
球を手に取り、じっと眺める。
でも。
来年も夏休みは来るし、その前には冬休みもやってくる。
だったら、今じゃない。
もっとだいじな時のために取っておかなくちゃ!
そう思って、僕はそっとポケットにしまった。
それから三十年。
大人になって、家族ができて、子どもが小学四年生になり、夏休みがやってきた。
僕は、使わないまま大事にしまってあった「あれ」を渡すことにした。
取り出した青い球を見て、僕にこれを渡した父の気持ちがわかった気がした。
ファンタジー
公開:22/09/28 10:07
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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