メイサ〜前編〜

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ぼくのいえは大きな木の上にあります。その木は小さな学校の、小さな校庭にあります。木のなまえは、わかりません。じぶんのいえのなまえなんて、だれもわからないでしょう?
 木のなまえはわからないけど、わかっていることもあります。この木がずいぶん、歳を取っているということです。だってこの木が生まれたのはずっとまえ。ぼくのお父さんのお父さんのそのまたお父さん、ずーっと、ずーっと昔のお父さんが生きている頃からあったということですから。
「ねえ、君はいつか、死んじゃうの?」
ぼくはいえにききます。本当は聞きたくなかったけど、聞かなきゃいけないと思ったんです。いえは答えました。
「もうすぐ、業者さんが来る。業者さんは、ワシの根元をレンガで囲んで延命治療をしてくれる。そうすれば、長生きできるよ。しばらくはね。」
 しばらくって、いつまでだろう。お年寄りの話は、ときどきわかりません。
公開:22/05/05 17:13
更新:22/05/05 20:33

さがやま なつき

今までは文章や物語全般の訓練。ここから童話作家への道、始動です!

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