じいじとばあばのメモリアルキャンドル・中

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〝あれ〟とは、メモリアルキャンドルのことである。結婚のお祝いなんかで頂くあれ。でっかいキャンドル。停電の時しかお目見えしないこれが、末の妹は大好きなのである。
「わあ、やっぱりきれーい。」
あたたかい声で、妹が言う。キャンドル越しに見える顔は、キラキラと輝いている。
「ホント、綺麗ーーね?」
「ああ、本当だな」
隣で、妹カップルがため息を漏らす。若い二人には、ろうそくの灯りはロマンチックに映るのだろう。長女で、もう若いとも言っていられず、なのに独身・彼氏なしの私は、少し意地悪な気持ちになる。で、キャンドルの持ち主夫婦に聞いてみた。
「ね、おじいにおばあ。2人には、離婚危機はなかったの?」
露骨である。場の空気が凍る。
「だって私から見たら2人ってーーまあいいや。長続きの秘訣。未来の夫婦に教えてやってよ。」
ファンタジー
公開:22/04/19 11:00

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