じいじとばあばのメモリアルキャンドル・上
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例年通り、今年もこの町に台風が来た。シューン、と音がして、エアコンが止まる。
「きゃっ、停電!」
妹が言って、隣の男に抱きつく。暗闇でもわかる、男の戸惑い。それもそのはず。妹と男は恋人同士であり、男は今、恋人の実家に来ていた。
「こら!裕一君!娘から離れなさい!」
父が怒るが、たぶん裕一君は悪くない。
「ねえ、じいじ!あれ、使うでしょ?ねっ?」
末の妹が暗闇を怖がりもせず、おじいにせがむ。おじいは鼻の下を伸ばして、
「うんうん。ほら、おまえ!何してる!あれだよ、あれ!」
ちょっと乱暴に、おばあに指示する。
「はいはい、あれですね。まったく、孫にはいい顔するんだから。どっこらっしょ、と」
「あ、おばあちゃん!私が」
お母さんが立ち上がり、妹の好きな〝あれ〟を取りに行く。
「きゃっ、停電!」
妹が言って、隣の男に抱きつく。暗闇でもわかる、男の戸惑い。それもそのはず。妹と男は恋人同士であり、男は今、恋人の実家に来ていた。
「こら!裕一君!娘から離れなさい!」
父が怒るが、たぶん裕一君は悪くない。
「ねえ、じいじ!あれ、使うでしょ?ねっ?」
末の妹が暗闇を怖がりもせず、おじいにせがむ。おじいは鼻の下を伸ばして、
「うんうん。ほら、おまえ!何してる!あれだよ、あれ!」
ちょっと乱暴に、おばあに指示する。
「はいはい、あれですね。まったく、孫にはいい顔するんだから。どっこらっしょ、と」
「あ、おばあちゃん!私が」
お母さんが立ち上がり、妹の好きな〝あれ〟を取りに行く。
ファンタジー
公開:22/04/19 11:00
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