秘密の執筆法

わたしは、世界でただ一人の執筆法を駆使する作家です。

どんな書き方かは、見ればすぐ分かります。
たぶん、あなたも聞いたことがある書き方だと思いますよ。

まず動きやすい服に着替え、室外で行うこと。
それからなにより、自分の思いを見つめることがだいじです。

このゴツゴツした岩を見てください。
これは、わたしが一年掛けて吐き出した、心の中のモヤモヤを固めた物です。
慣れると具現化することもできますが、最初はチラシの裏やノートにメモすればよいと思います。
わたしも最初はそうでした。

さて、ここからが本番です。
吐き出したものを、

殴る！　殴る！！　殴る！！！

ひたすら、粉々になるまで殴り続けます。
その破片の中に、書きたいことや話の筋が見えてきます。
それをかき集めて、パソコンで初稿を作る、というわけです。

この執筆法の名前は殴り書き、と言います。
ほら、ご存じだったでしょう？