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「パパ、いつもありがとう!」
そう言って息子がくれたのは、『肩こり券』というものだった。
「肩こり券?肩たたき券じゃなくて?」
コソッとママに言うと、「しっ!」と言われた。その時だ。
「いたたたたっ」
息子が肩を押さえて、苦悶の表情を浮かべた。俺たち夫婦は慌てて、
「りきと?おい、りきと!どうした?痛むのかっ?」
息子の上に覆い被さると、彼はギュッとつむっていた目を開けて、
「肩こり取れた?」
と言った。夫婦わけがわからずにいると、
「だってパパ、いつも肩をなでながら『いたたたた』って言ってるでしょ?だから、ボクが代わってあげようと思って」
「りきと……」
静かにいう妻。なのに俺ときたら、
「そんなときは、『肩たたき券』だろ?フツー」
と言ってしまう。妻ににらまれ、しまった!と気づくと、息子は言った。
「肩たたき?やだよ、そんなの。ボクが疲れるもん」
だと。さすが俺の息子だと思った。
公開:22/04/17 17:27

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