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一人旅で、寂れた温泉街にやってきた。
宿に着き、部屋に通されて一息つく。
お茶でも飲むか、とテーブルを見たら、急須と一緒に透明な瓶が置かれていた。
和紙の説明書きが添えられており、人の思い、記憶、人生や夢を抽出し、インクにしますと書かれている。
瓶の蓋に手を当て、「夢」という言葉を胸に蓋を開けた。
水音が聞こえた。瓶の中に液体が溜まり始めている!
液体は瓶の口まで溜まり、静かに止まった。
瓶には、真っ白なインクが満たされていた。
白では紙に書けない。私には夢などない、ということか。
ふてくされ、床に大の字になったところで、ふと気づいた。
インクが白なら、紙の方を黒にすればいいじゃないか。
今いる場所で書けないのなら、場所の方を変えれば、書いた文字は、夢は、見えるのかもしれない。
それに気づき、私は瓶を見つめた。
今回の旅の、一番の収穫かもしれなかった。
宿に着き、部屋に通されて一息つく。
お茶でも飲むか、とテーブルを見たら、急須と一緒に透明な瓶が置かれていた。
和紙の説明書きが添えられており、人の思い、記憶、人生や夢を抽出し、インクにしますと書かれている。
瓶の蓋に手を当て、「夢」という言葉を胸に蓋を開けた。
水音が聞こえた。瓶の中に液体が溜まり始めている!
液体は瓶の口まで溜まり、静かに止まった。
瓶には、真っ白なインクが満たされていた。
白では紙に書けない。私には夢などない、ということか。
ふてくされ、床に大の字になったところで、ふと気づいた。
インクが白なら、紙の方を黒にすればいいじゃないか。
今いる場所で書けないのなら、場所の方を変えれば、書いた文字は、夢は、見えるのかもしれない。
それに気づき、私は瓶を見つめた。
今回の旅の、一番の収穫かもしれなかった。
ファンタジー
公開:22/05/18 09:25
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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