南国の雪

ここは南国沖縄。
十二月でも二十度ぐらいはある。
なのに──朝起きたら、一面の雪景色だった。

とにかく、寒くて凍えそうだ。
何か羽織りたいが、普段使わないから家にない。ストーブがないので、エアコンの暖房を全開にした。それでも寒い。
暑さをしのぐように、風通しを良くした間取りが裏目に出た。
Tシャツを重ね着し、震えながらニュースを見れば、「沖縄で積雪」の文字が躍っていた。

季節は巡って六月、一足早い夏がやってきた。
今度は暑くてたまらない。
すると──。

そこかしこに、冷やしもの屋……要するにアイスやかき氷を売る店が増え始めた。
夏を見越して、雪を保存しておいた者たちがいたのだ。

転んでもただでは起きない、とはこのことか。
では、私も見習おう。
今のうちに、不要になったストーブを集めておこう、と決めたのだ。
もし雪が降らなかったら……その時は、焼き芋屋でも始めようと思った。