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娘は太っていた。痩せようという気などなく、ついには食べること自体にドクターストップがかかってしまった。
「少し食べなかったくらいでは、この子の体は壊れないでしょう。それよりお母さん、この子のダイエットに、最良の方法があるのですが」
最良の方法。母親は飛びつき、すぐさまそれを試した。

「わあ、おいしそうなおにぎり!いっただっきまーす!」
「ガギッ!」
娘がおにぎりを口に入れた瞬間、おかしな音がした。そして、娘の歯が折れた。これを繰り返すうち、娘の歯は全て抜け落ち、娘自身は食べることに恐怖を覚え、どんどん痩せていった。しかし、不思議なことがあった。
「どうして?どうしてお母さんが食べると、普通の食べ物なの?」
実を言うと、それは硬くなどなく、母親が娘に暗示をかけていただけなのだ。
後日、素直すぎた娘が手に入れたのは、スレンダーな肢体と、歳の割に老けすぎた顔だった。
その他
公開:21/11/13 21:23

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