心のブックカバー

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神保町のとあるカレー屋の並びに、カバー専門店がある。
本やノート用のカバーを扱っているが、人間用のブックカバーも売っている。
人の心にかけて使うもので、見た目はマフラーだったりシャツだったりと多種多様だ。
その機能は、ブックカバーと同じで人それぞれ。
心を汚さないためだったり、感情を隠すために使われる。

人は生まれた時、両親から最初のブックカバーを受け取る。
本屋で買った時にもらうものと同じだ。
自分という本を読み進めていくうち、カバーは汚れ、破けていく。
そうなったら、かけ替えどきだ。

わたしは今日、新しいカバーを買いに来た。
カバー無しも考えたが、そこまでわたしは強くない。
店の中を見て回って、いいものを見つけた。
透明な素材でできたハンカチだ。
これなら、わたしの心を守りつつ、隠しすぎることもないと思った。

新しい環境に旅立つわたしに、ちょうどいい。
ファンタジー
公開:22/02/23 16:00

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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