落とし玉

松が明けてだいぶ経つが、まだ正月気分が抜けない。
待ち望んだ週末、こたつでぼんやりとネットを眺めていると、「神社でおとしだまを配布、今年はオンラインで」という記事を見つけた。
老若男女かかわらず、お年玉をくれるらしい。有名な神社だったので、詐欺の類いではなさそうと踏んで申し込んでみた。

翌日、封筒が届いた。中には古びたポチ袋が十個。
見覚えがあった。私が子どもの頃にもらったものだ！
中身も、当時のまま入っていた。
両親から「貯金しておくから」と言われ、渡したのは覚えているが……。
その後はすっかり忘れていた。

懐かしい思いに耽っていると、封筒から、ビニール袋に包まれた新品のポチ袋が出てきた。
それから、ペラ紙が一枚。
「これは過去からの『落とし玉』です。自由にお使い下さい。もし、今のあなたに余裕があるなら、次の世代に送ってあげてください」と書かれていた。