絶滅器具種

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高校生の娘は、平成生まれの現代っ子だ。その現代っ子の娘にとって、祖父、つまり私の父の部屋は宝の山らしい。
「おじいちゃん、これなあに?」
「ん?これか?これはな、鉛筆削りだよ」
「えっ?鉛筆削りって、自動式だけじゃないの!?」
それから娘は手回し式鉛筆削りにハマる。
「おじいちゃん、これなあに?」
「ん?ああ、それは洗濯板、って、そんなものまでここにあったか」
質問と応答のキャッチボールに、父も楽しそうだ。

「暖乃(のんの)ちゃん、これ、これ、どうすればいいっ?」
ん?
「ああ、それはね、まずここを押して、メール画面を開いてーー」

ーーそうか。スマホ文化がお年寄りにも広がっている時代、うちの父はまだ家の電話もうまく使えない人だった。こちらも絶滅危惧種か。
その他
公開:22/01/17 18:31

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