素敵ステーキ

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おかしい。こんなイケメンが私と付き合ってくれるなんて、絶対におかしい。
女は疑いの目で、向かいの男を見る。そんな彼女に男は、
「食べないの?あ、もしかして苦手だったかな?肉」
男に促され、女は目の前のステーキに目を向ける。苦手なもんか。大好物だ。
「ううん!すっごくおいしい!ーーでも、よく知ってたね、こんな高そうで、おいしいお店」
「うーん、じつはね……」
「なに?」
「いや、実はここ、実家なんだ」
「えっ!ウソ!?なーんだ、まんまと売り上げに貢献させられただけか!」
ハメられただけか。彼女は思った。でも、傷つきはしなかった。
「あ、ごめん。ちょっと電話」
「ええ、どうぞ」
男は席を立つ。女は食べ続ける。

「あ、もしもし、父さん?母さんにも伝えて。未来の嫁さん、つれてくるからって」
「うまくいったのか、あれ!」
「ああ。彼女、すっかり俺をイケメン、いや、超絶イケメンだと思ってるよ」
その他
公開:22/01/11 11:14

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