アートの痕跡

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美大生の俺は、売れない画家と自称している叔父さんの絵を買った。キャンバスとして、使わせてもらうためだ。
「本当にいいの?こんないい絵」
「かまわんさ。評価してくれるのは、お前だけだ」
そう言われると、まるで俺に見る目がないみたいだが。
とにかく俺は、叔父さんのキャンバスを借りて、絵の練習をした。キャンバスにはうっすら、叔父さんの絵が残っていた。
そして、数十年後ーー
俺は未だに、画家として評価されなかった。一方叔父さんの絵は評価され、今や大先生である。
そうして俺は、今日も描く。
ピンポーン
「ん?はーい」
「すみません、あなたに作品をパクられたと、被害届が出ているのですが」
俺がライバルになりうると、叔父さんは評価してくれたようだ。だからーー
「今のうちに潰しておこうと」
公開:22/01/12 12:43

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