デジタル夏祭り

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朝晩の風の中に、わずかに秋の匂いが感じられるようになった、九月。
世界を繋ぐ夏祭り、その名も「ENNICHI」が実施された。

祭が終盤にさしかかったある日、不思議なできごとが起こりはじめる。
店の品物が消えたり、置いてあったものが無くなったり。
システムの不具合かと、世界中の人が調査を始めたが、原因は不明。
ついに、本職のエンジニアがネットワークを調べることになった。

その結果──。
存在し得ないデジタルデータがネットワークに「いる」ことが判明した。
巨大なサイズの、中身が分からないデジタルデータ。
それは、祭りの中を自律的に動き回っていた。
世界の叡智が追跡し、それは「お化け」であると結論づけられた。

お化けも縁日に来たかった。
その情報は世界中に広がり、どの店も、彼らのための祭壇を作り、供え物を置いた。
供え物が消えたあとには、お礼の品が置かれるようになったという。
ファンタジー
公開:21/09/01 11:33

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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