お母様なら、知っている

「ねえ、お父様。夜はどうして暗いのですか？」　
「そのほうが、ぐっすり眠れるからだよ」　
「ねえ、お父様。星はどうして、瞬いているのですか？」　
「じつはあれらは星じゃないんだ。切れかけた蛍光灯なのだよ。だから、チカチカ、チカチカってね」　
夜空を見上げながら、父はあくびをする。息子の質問は続く。　
「ねえ、お父様。」　
「なんだい？」　
「えっとね、どうして、お父様は嘘をつくの？」　
「……」　
「ねえ」　
「誰が！ーー誰がそんなこと言ったね？お父様が、ウソつきだ、って」　
「お母様ですーーねえ、お父様？」　
「ん、ん？」　
「こないだいっしょにうちに来た女の人、あの人はだあれ？」　
「……お、お母様に聞きなさい」