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「こうして、人と化け物は、仲良く暮らしたそうよ」 
お岩さんはそう締め括ると、シュッ、とろうそくに火を点す。一堂、感嘆の声をあげる。 
「さすがお岩さま、今日も幸せになるお話ね。」
「そんなこと……。えっと、次は……」 
「私!市松人形、行きます!」 
市松人形が元気よく手をあげ、拍手喝采が沸き起こる。市松人形は皆のファッションリーダー。今日も人間に切ってもらったという髪型について語ってくれるのだろうと、居並ぶ女幽霊たちは期待した。 
「このように、今の人間の言うことなんて、ただの一字も、わからなかったわ。おしまい!」 
シュッ。ろうそくがまた、明るくなる。 
逆物語。それは、丑三つ時から朝にかけて、幽霊たちが幸せになる話をしていく、というものであった。そうして最後にはーー 
「ギャー!」 
誰かが人間を召喚してしまい、幽霊も人も悲鳴をあげる。結末だけは、百物語と同じだった。
その他
公開:21/08/26 09:00

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