3
2

オレの名前は、小熊安仁。この地で1番大きな暴力団、小熊組、その組長の孫だ。しかし、
「おい、ヤス!なにボーッと突っ立てる!組長がタバコ買ってこいってよ!」 
「おい、ヤス!俺の靴はどうした?新しいの用意しとけって言ったよなあ!?」 
このように、仲間のオレに対する扱いは、なんともひどいものである。 
「それもこれも、オレが五男坊だからだよなぁ」 
そう。オレは小熊組の五男坊。兄貴たちは四男を除いて幹部だし、四男もしたっぱもしたっぱというわけではない。したっぱもしたっぱはオレだけ。 
「ったく、やんなっちまうぜ、ほんと」 
呟くと、誰かに声をかけられた。 
「あっ、ちぇんちぇー!」 
遠くから、子供が走ってくる。オレは手を伸ばし、受け止めてやる。 
ん?暴力団が、ずいぶん優しいんだなって?ったりめえだろ。オレは幼稚園の小熊組の保父なんだからよ!
その他
公開:21/08/25 18:14

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容