手前味噌

手前味噌で申し訳ないが、うちの姪っ子はかわいい。まだ生まれたばかりの赤ん坊なのだけれど、とはいえ、そこら辺の子より、ずっとかわいい。もう、食べちゃいたいくらい。
「食べ、ちゃい、た……!」　
食べることにした。食べたら、それが核となって、わたしにもあんな可愛らしい子ができるかもしれない。とはいえ、あの子をそのまま食べるわけではない。そんな残酷なことはしない。食べるのは、あの子のへその緒だ。桐の箱に入って、姉の家の箪笥のいちばん上に入れてある。ーーまんまと手に入れた。漢方のよう、高麗人参のようなそれだった。　
「うーん……」　
思案し、決めた。　
①へその緒をすり鉢で擦り、粉にする。　
②(へその緒とはいえ、人肉だ)臭み消しに家にあった肉味噌と混ぜる。ーー手前味噌だけに。　
③さわやかにするため、レタスにディップだ。ーーうん！　

30分後、吐き気を催した。ただの腹痛だった。