記憶の中の人

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小さい頃から、慣れ親しんだ施設といえば、病院だった。定期検診のために病院に行くと、私は決まって、あるおじさんと遊んだ。おじさんはいつもパジャマを着ていた。緑色のストライプ。入院患者だと気づいたのは、十数年後の今だけど。 
おじさんは、私をとても可愛がってくれた。うろ覚えだけど。おじさんは、いつも一人だった。うろ覚えだけど。面会の人を、見たことがなかった。うろ覚えだけど。 
ある日、私に会いに、両親が来た。あちら一人なら迷惑にはならないだろうと、おじさんに紹介した。 
「パパとママだよ」  
それから、あの人を見ていない。両親も、そんな人いたっけ?と言う。

どうしてだろう。子供、いや、赤ん坊の頃の記憶が、最近頭に巣くっている。そして、今でも時々、聞こえるんだ。
「家族いるのな、おまえ」 
と言っている、なにやら恨めしそうな声が。
公開:21/08/18 06:51

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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