シンメトリー

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僕の家は、ちょうど国境の真ん中にあった。だから、ひとつの建物で、2つの住所があったし、それに、国境の向こう側の部屋には行ってはいけないと言われていた。だけど、ダメと言われると、それを破ってみたくなるのが、子供というもの、いや、それが決まりというものだ。母さんが買い物に出たとき、僕はこっそり、隣の敷地に足を踏み入れてみようと、国境に向かった。そのときだ。ちょうど向こうからも、子供が走ってきた。こちらに来る。どうしよう。会うか?会わないか?考えている間にも、子供の影は大きくなる。 
会うか、会わないか。挨拶するか、しないか。意を決せない僕は、とうとう見てしまった。 
そこに、僕がいた。
ファンタジー
公開:21/08/15 21:53

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