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歴史の話をしよう。なに、難しいことではない。この国、島国ニッポンの、この土地、私たちの生まれた場所の、誕生の軌跡の話だ。 
かつてこの地は、日本に存在しなかった。驚くだろう。しかしまず、最後まで聞いてほしい。 
かつてこの地は、年貢の取り立てにあえいでいた。食うや食わずの生活をしていた。すべてはこの地を統べる、殿様のため。殿様のご機嫌取りをして、自分たちの存在価値を認めさせるため。しかし、年貢米は取れない。農民は路肩の石を神と見て、毎日それに祈ったという。明日の命を祈ったという。するとどうだろう。祈り続けること一月。事件は起きたのだ。なんと殿様が年貢米の制度を中止したのだ。理由は、なにやら丸い石に襲われたから。 
「田の神様だ」 
農民は、そう名付けた神の石を思った。今回のことも、今朝、なぜか稲刈りが済んでいたことも、田の神様のお陰に違いない。ーーこれが、路肩の石仏、誕生の話である。
その他
公開:21/08/13 23:48

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