猫は大地をめざす

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とある国に、背中に羽の生えた猫が住んでいる街があります。
そこで猫たちは、人の役に立つための修行をしています。
やがて一人前になると羽が取れ、人の世界におりていくのです。

鋭いキバをいかしてハサミになった子がいます。
豊かな毛をいかしてぬいぐるみになった子がいます。
敏感な感覚をいかしてコンピュータになった子もいました。

そんな中、何百年も羽が取れない猫がいます。

ある日、その子は人間と出会いました。
猫の街で暮らし、語り、長い時をともに重ねて。

ああ、お話しが長くなりました。
そこに白い猫が寝ているでしょう。それが、話に出てきた子です。
ただそこにいるだけで、私に希望をくれるのです。

この子は、自身だけでは動けません。
共に動く誰かがいて、初めてその力を発揮する。

そう、この子は「希望」になりたかったのです。
それに気づいた時、この子は、私と共にゆくことを決めてくれたのです。
ファンタジー
公開:21/08/11 09:41

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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