小さい本屋ー白雪姫ー

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店に着くと、すでにお客さんがいた。私はパタパタと走っていき、ドアに鍵を差し込む。
(開店準備も、したかったのだがな)
しかし、お客様の前で、それは失礼だ。まずはこの方の用向きを…… 
「恋人を……!」 
「はいっ?」 
お客様から、突然お声がかかった。私はすっとんきょうな声をだし、振り替える。 
「今、なんと?」 
「恋人を、探しているんです。黒髪の、赤いリボンが似合う女性です。毒リンゴの髪飾りもつけていて……。」 
「毒リンゴーーああ」 
すぐにピンときた。お相手の方も、おなじ用で、昨日来たな。 
「少々お待ちを。…さあ、開いた。どうぞ、中でお待ちを」 
少しの間、お待ちいただく。 
「さあ、これだ」ーー差し出したのは、白雪姫。 
「これだ、これです!ありがとう!」 
白雪姫の王子様、満足そうに、本の世界に帰っていった。
ファンタジー
公開:21/08/10 04:51
更新:21/08/10 08:09

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