ケータリング

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お弁当屋さんの前で、うんうん唸っている人がいた。 
「あ、お弁当係さんだ」 
近づいて、ちらりと見えたプレートには、なぜかアルファベットが2つ。ーー「O」と「B」。 
首をかしげる私に、あちらが気付いてくれた。そして、 
「ああ、イニシャルOって、ありがちかな、って。Bもいれた方が、わかりやすくなりません?」
ーーなるほど、わかりやすいです! 
「あの、えっと……」 
「若葉もゆさん、ですか?」 
「はいっ、そうです!」 
やばい、声が大きすぎた。案の定、お弁当係さんは楽しそうに笑った。やー、恥ずかしいっ。 
「お弁当係さんですよね。ここで何を、というか、何を唸ってらしたんですか?」 
「あー、みんなのお弁当をね、選んでいたんです」 
「今?みんなの分?」 
時計を見れば、8時45分。別にいいけど、それにしても、みんなの分? 
「まかない担当なんですよ、僕」 
不思議な人に出会った。
青春
公開:21/08/08 06:57
ssg物語④ お弁当係さん

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