空と君のあいだで

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その人は、いつも空を見ていたという。空に憧れて、空の色が好きで、ふとしたときに目に、耳に入ってきたその人に恋をしたのだという。 
彼は、そんな空好きの彼女の細い腕を、強く、強く、握っていた。そんな彼を彼女は顔をしかめながらも、優しい微笑みで見つめていた。 
「繋ぎ止めているんです。こちら側に」 
彼女が化粧室に立ったとき、彼はそっと、教えてくれた。その言葉の裏を思った私は不躾にも 
「どこかお悪いの?」 
と、ストレートに聞いてしまった。すると彼は慌てた様子で、 
「あっ、違うんです!どこか悪いとか、そういうんじゃなくて。なんか、ほら、はかなく見えません?」 
彼の目は、化粧室から戻ってこちらに走ってくる彼女に、優しく注がれていた。
これが、私と空津歩さんとの出会いだった。
青春
公開:21/08/08 04:11
更新:21/08/08 04:21
空津 歩さん ssg物語③

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