爆ぜるハロウィン

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大通りに面したカフェで、私は祭の開始を待っていた。
やがて夕暮れ時になり、仮装をした子どもたちが現れた。
オレンジを基調にした色鮮やかな衣装をまとい、通りを練り歩いていく。

「トリック・オア・トリート!」
小学生くらいの少年が、笑顔で私に言った。
慌ててカバンからお菓子を取り出し、渡す。
と、ズボンの右足が風船のように膨らみ、ぽんと爆ぜた。
歓声が起き、大人たちがその子を胴上げし始めた。

驚いて隣にいた老人に尋ねた。
すると、これこそがこの国に伝わる「爆ぜるハロウィン」だという。
15歳までの子どもが、仮装で街に出る。
大人からお菓子を貰えれば徳が溜まり、一定量になると、仮装のどこかが爆ぜる。
爆ぜた部位は、将来その子の長所となることを示すのだ。

様々な可能性を見いだす日。
将来の指針を示される日。
それが、この国のハロウィンなのだった。
ファンタジー
公開:21/10/14 09:45

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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