ふせんロボット

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仕事中、トントンと肩を叩かれ振り向いた。
繁華街で見たサンドイッチマンのように、身体の前後にホワイトボードを付けたロボットが立っていた。ボードには大量のふせんが貼られている。
ロボットがその中の1枚をぴっとはがし、私に差し出した。そこには「11時先方に電話」と私の字で書かれている。
よかった、忘れるところだった。

当社開発のふせんロボットは有能だ。
街中を歩いているロボットに、専用のふせんで時間・場所・内容を書いて貼り付ける。
時間になったらロボット自身が来て、内容を伝えてくれるのだ。
絶対に忘れないし、書いたふせんを無くすこともない。

と、別のロボットがふせんを持ってきた。
ふせんロボットの一体が出先で故障したので見に行って欲しいとのこと。
サーバに残るログから、「19時に食事」と書かれていたことが分かった。
問題は、そのふせんを書いた探検家が今、エベレストを登山中だということだ。
ファンタジー
公開:21/10/06 08:51

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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