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「よけろーーッ!」
怒鳴り声にがして、私は目の前のコンビニに駆け込んだ。
背後で、金属がきしむ耳障りな音が耳をつんざく。
工事現場から、資材が落下したとのことだった。

……このところ、不幸が続いていた。

帰宅してソファに転がると、神棚が目に入った。
正月に神社でいただいた「神風船」が縮んでいた。
神社に持ってお参りをすると、御利益が溜まって膨らんでいくという。
正月にはパンパンに膨らんでいたのを思い出した。
これを放っておいたのが不幸の原因かもしれない。

週末私は、神社にお参りに出かけた。多い方がいいと思い、十個以上は巡った。
膨らんだ神風船を手に、私は帰宅した。
疲れていたのか、玄関で躓いて転んでしまった。
転げ落ちた神風船を拾おうと足を踏み出して──踏んでしまったのだ。

神風船に詰まった御利益は、私の周りに飛び散っていったらしい。
しばらくの間、私の周囲では、幸運が続いた。
ファンタジー
公開:21/09/29 09:41

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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