待ち人

「あの、君、どこかで会ったことあるかな？僕と」　
「ーーいいえ」　
これが、小学四年生の秋の出来事。　
「あの、あの子だよね？ほら、あのとき、ほら！えーっと、ほら！」　
「人違いでは？」　
ヤバいヤツに絡まれた、中三の冬。　
「あ……」　
「え？」　
「……いやいや」　
なにもなかった、大学時代。　
「あんた、また断ったの？いないんでしょう？相手」　
心配してくれる、浮気癖のある友人。「うん、まあ」と答える、彼氏いない歴=年齢の私。今はもう、◯◯歳。
でも、私は待っていた。私の相手は、あの人だ。私のーー
私は、誰を待っている？