夜の果ての終着駅

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かくん、と頭が揺れて目が覚めた。しまった、寝過ごしたか。
慌ててホームに出ると、駅員を見つけた。

事情を話すと、事務所でよければ朝までどうぞ、とのこと。
お願いして、遺失物保管庫を兼ねるという事務所に向かった。

中は棚が並び、落とし物が山と並べられていた。

目が冴えてしまったので歩いていると、古ぼけたノートを見つけた。
小学生が使う、学習用のノート。拙い字で、私の名前が書かれている!
開くと、これまた拙い字と絵が並んでいた。
小説かゲームのようなもの?
学校で話したこと。帰り道に見つけた知らない道。好きなテレビの話。

夢中になってノートを読んでいた。
どれほどそうしていただろうか、駅員がやってきて、始発ですと告げた。
駅員に、このノートは私が昔持っていたものですと言うと、笑顔で頷く。
「失せ物が見つかったようで、何よりです」
ファンタジー
公開:21/06/02 10:13

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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