ねんりんピック
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テレビをつけたら、奇妙な番組をやっていた。出演者全員、カメラに背を向けているのだ。そうして輪になって座り、中央の切り株を見ている。アナウンサーが言う。
「さあ、始まりました、ねんりんピック!解説は太田さんにお願いしたいと思います!太田さん、私たちは、いったい何をしているのでしょうか?」
「もちろん、ねんりんピックの実況と解説です。あなた、勉強してないですねえ」
「も、申し訳ございません。えっと……」
その時、半泣きのアナウンサーを助けるかのように、カメラが切り株に近づいた。アナウンサーが叫ぶ。
「アリだ。アリが年輪に沿って走っている!年輪をまるでトラックのように使っているーっ!」
「興奮するとこ、間違ってるよ」
俺はテレビを消し、息子に話しかけた。
「昆虫採集にでも行くか」
「さあ、始まりました、ねんりんピック!解説は太田さんにお願いしたいと思います!太田さん、私たちは、いったい何をしているのでしょうか?」
「もちろん、ねんりんピックの実況と解説です。あなた、勉強してないですねえ」
「も、申し訳ございません。えっと……」
その時、半泣きのアナウンサーを助けるかのように、カメラが切り株に近づいた。アナウンサーが叫ぶ。
「アリだ。アリが年輪に沿って走っている!年輪をまるでトラックのように使っているーっ!」
「興奮するとこ、間違ってるよ」
俺はテレビを消し、息子に話しかけた。
「昆虫採集にでも行くか」
その他
公開:21/08/02 07:31
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