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私は地元の大学の研究チームのところで、発掘調査をしている。仕事、ではない。ボランティア、いや、遊び半分である。だが、
「これはゴミ、これもゴミ。どれも中途半端だねえ」 
 よい収穫は得られない。そんなことはしょっちゅう。そんななか、考古学の権威であるワタリヤ先生が、私たちを呼んだ。 
「見てごらん。やっと完全なのを見つけたよ!」 
「わあっ……!」 
はじめて見た。それは完全に、完成された、物語だった。ごく短い読み物ではあるが、ちゃんと生きている。物語のなかで、人や動物が生きている……!私は感動した。
「先生……!」 
「うむ!ーー若井さん!すぐにこれを、印刷してくれ!出版社も、いいところを選んでくれよ!」 
こうして私は、埋もれかけた物語の再生を見たのだった。
公開:21/07/30 19:49

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