湖
3
2
湖の畔に独り
そうして今日も 暮れていく日
待つと決めたその瞬間から、心に穴が、穴に風が 風はとても冷たくて痛むほどに冷たくて 暫し咳き込み、胸を押さえる
ぽちゃぽちゃと、湖が鳴く。さよさよと、梢が揺れる
「お夕飯を、食べてゆきなさい」
振り向くと、あの司祭様。目を転じると、熱いスープ。ーーパンも添えて
「おいしい……」
一口含んで、私はつぶやく。待つのです、司祭様は言う。
「待つのです、辛抱強く。信じるのです、光の乙女を」
「光の乙女?」
ええ、と。彼は無言で、うなずいた。私は一筋、涙をこぼした。
楠が一筋、光をこぼした。
そうして今日も 暮れていく日
待つと決めたその瞬間から、心に穴が、穴に風が 風はとても冷たくて痛むほどに冷たくて 暫し咳き込み、胸を押さえる
ぽちゃぽちゃと、湖が鳴く。さよさよと、梢が揺れる
「お夕飯を、食べてゆきなさい」
振り向くと、あの司祭様。目を転じると、熱いスープ。ーーパンも添えて
「おいしい……」
一口含んで、私はつぶやく。待つのです、司祭様は言う。
「待つのです、辛抱強く。信じるのです、光の乙女を」
「光の乙女?」
ええ、と。彼は無言で、うなずいた。私は一筋、涙をこぼした。
楠が一筋、光をこぼした。
公開:21/07/25 20:49
ログインするとコメントを投稿できます