降灰した町

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帰ってきた。朝目が覚めたら、ここにいた。店のカウンター。小さな本屋のカウンター。私はそこの、小さな主人で。 
なにも覚えて、いなかった。どうやって帰ってきた?誰かが、連れてきてくれーー
 ハッ!とした。本だ。私は、本を読んでいた。誰の本?わからない。だけど、誰か大切な人の本。 
「誰!?」 
 私は駆け出した。外と内の狭間に、人がいたような気がしたのだ。
私は駆け出す。動機がする。予感がする。どうか、無事でいて、どうか! 
「ひゃあっ!」  
 そこに、思っていた人がいた。砂にまみれて、炎にやられて、原型を留めていなかったけど。 
 そばに、私が「踊る人」と名付けている人もいた。彼女は多重人格者だ。私に踊りを見せたがってて、近所の人には、自分を隠した。彼女が雪だと思っているのは、実は灰で。熱い、まだ火が残る灰で。 
声がした。誰?帰りなさい。どこへ? 
そこで、目を覚ました。
その他
公開:21/07/24 03:22

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