千日手模様

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いつものように通勤電車で出勤する。
ドアの上にあるモニタで天気予報を眺めていたら、『今日のお天気は、千日手模様です』と表示されていた。

会社に着いて仕事をし、終電で帰宅。翌日も、その次の日も同じ。

ある日、おかしなことに気づいた。
同僚が、昨日と同じ話をしている。私も、同じ返事をしている。
昨日もやった会議、「Re」が並んだメール。
将棋の千日手のように、同じことを繰り返す毎日。私は、背筋が寒くなった。

それから私は、現状を変えるべく、発言を、行動を、意識して変えるようにした。
気を抜けば、「千日手模様」に絡め取られてしまう。
同じ手を打たないように、繰り返さないように。

十年が経った。
千日手を打開し続けた私は、社長として全てを判断し、決定する立場にあった。
連日、多くの社員が変化を求めて私の部屋にやってくる。
息をつき、私は苦笑した。
「今日も、千日手模様だな」
ファンタジー
公開:21/07/21 09:27

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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