煙たい
2
3
諸事情で実家に帰れない人のために、「家族煙」「親戚煙」なるものが発売された。
「家族?家族ねえ」
「そんなあなたに!」
適当に聞いて流してやれ、と考えた俺に、「家族煙」「親戚煙」開発者の彼女は言った。
「ねえ、しんちゃん。家族に会うのが億劫なのはわかるよ?でもさ、あたしは会いたいよ。付き合って、もう5年だよ?そろそろさ、ね?」
彼女の上目遣い。弱いんだなあ、これによ。
仕方なく俺は、「家族煙」を購入した。お代は特別タダだった。
早速、「家族煙」を指で擦る。煙と共に母親の顔が現れる。
「あ、圭太?あんた、いま何してるの?家を出て以来、10年も連絡しないで!もうすぐ夏休みでしょ?今年こそ帰ってきな!あ、でも、部屋はそのままよ。そのままって、つまり汚いままってこと!片付けはあんたがしなね。あ、それとね」
「け、煙たいおばさん……」
彼女が言った。
「家族?家族ねえ」
「そんなあなたに!」
適当に聞いて流してやれ、と考えた俺に、「家族煙」「親戚煙」開発者の彼女は言った。
「ねえ、しんちゃん。家族に会うのが億劫なのはわかるよ?でもさ、あたしは会いたいよ。付き合って、もう5年だよ?そろそろさ、ね?」
彼女の上目遣い。弱いんだなあ、これによ。
仕方なく俺は、「家族煙」を購入した。お代は特別タダだった。
早速、「家族煙」を指で擦る。煙と共に母親の顔が現れる。
「あ、圭太?あんた、いま何してるの?家を出て以来、10年も連絡しないで!もうすぐ夏休みでしょ?今年こそ帰ってきな!あ、でも、部屋はそのままよ。そのままって、つまり汚いままってこと!片付けはあんたがしなね。あ、それとね」
「け、煙たいおばさん……」
彼女が言った。
青春
公開:21/07/17 14:26
ログインするとコメントを投稿できます