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「それでは、お気をつけてお進みくださいませ」 
 係の女性に促され、俺は鏡の館へと、足を踏み入れる。 
「うわ、すご……」 
 中には俺がたくさんいた。すぐに酔っ払ったようになる。
「こ、こりゃあいい」 
 千鳥足になりながら前に進む。が、進めど進めど、出口がない。俺は次第に、不安になってきた。 
「こっちじゃないし、あっちでもない。出口、出口はどこだ!」 
………

「これ、きれいでしょう?綾乃が作ったの。中にはね、お父さんの顔のオブジェクトが入ってるのよ。父の日にあげるの」 
 そう言いながら、綾乃は自慢げに万華鏡をカラリと回した。
ホラー
公開:21/07/17 16:42

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