会話の小づち

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友人が、会話上手になった。
聞けば、神社で買ったお守りのおかげだという。

これさ、と見せてくれたのは、スマートフォンにぶら下がっているストラップだった。
打ち出の小づちのような形をしている。
こんなもので?といぶかしむと、彼は饒舌に語り始めた。

これは「相づち」といい、会話のテンポをとってくれる。
私も買いに行きたいと言ったら、止められた。副作用があったという。

それは、会話上手になる代わりに、口から言葉が止まらなくなるそうだ。
言われてみれば……彼の話、テンポはいいのだが、内容があっちに行ったりこっちに行ったり、さっぱりまとまらない。

これは「槌」──カナヅチでもある。
カナヅチとはすなわち、泳げないこと。
気を抜くとすぐに、自分の言葉に溺れて、どうでもいいことやウソを口にしてしまうそうだ。

あれ、待てよ?
だとしたら、このお守りの話はどこまでが本当なのだろう……?
ファンタジー
公開:21/06/16 09:36

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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